No.165 小さな頷き
お元気ですか?
ここにきて長く辛かった「花粉症」からもようやく解放され、嗅覚が「完全復活」を遂げましたので、飯は旨いし、朝の深呼吸もバッチリ出来るので「梅雨入り」までは最高の気分で過ごすことが出来そうですっ!
先日、「全日本パブリックアマチュアゴルフ選手権」の東日本A地区決勝大会へ出場しました。
各予選を通過してきた約200名のアマチュアゴルファーが25名だけに与えられる「全日本大会」の出場権を賭けて争う本格的なゴルフ競技です。
結局、47位タイという結果に終わり「全日本」の切符は手にすることが出来ませんでしたが、静岡、神奈川、福島などのアマチュアゴルファーたちと親しくなり、たくさんの情報交換も出来てとても有意義な時間を過ごすことが出来ました。
通称「パブ選」と呼ばれるこの大会は、アマチュア競技の中でも名誉ある大会で、歴代優勝者には若かりし頃の中嶋常幸や丸山茂樹などのトッププロたちが名を連ねています。
中学生~大学生の「学生ゴルファー」が多いのが特徴で、今回も半数以上は学生だったと思います。
私と同じ組でプレーした3名のうち2名はやはり学生で、中学3年生と高校2年生でした。
スタート前は「学生共に足かけ20年のキャリアを見せつけてやるっ!」と意気揚々としていましたが、全く歯が立ちませんでした。
特に中学3年生のプレーには「こりゃスゲェ~やっ!」と驚きの連続でした。
聞けば、お父さんの影響でゴルフを始め、順調に上達している様子で、将来は「プロゴルファー」を目指しているとのことでした。
一般サラリーマンであるお父さんは、「2人でゴルフをやるのは経済的に難しい」と息子のためにゴルフをやめたそうです。
試合当日も有休を取ったお父さんが送り迎えも兼ねて応援に来ていました。
スゴく腰が低いお父さんで、スタート前には息子と一緒にプレーする面々にこっちが恐縮するほど「宜しくお願いします」と何度も頭を下げていました。
でも、プレー中に「1つだけ」気になることがありました。
素晴らしいプレーの連続でしたが、やはりゴルフは「ミスのスポーツ」。
全てがナイスショットというわけにはいきません。
中学3年生の彼は、ミスする度に自分のゴルフクラブを手に持ちながら足で蹴っ飛ばすのです。
2回目までは我慢して見ていましたが、3回目に蹴っ飛ばした後、
「そのクラブは自分で稼いだお金で買ったんかい?」
「違います…」
「誰に買ってもらったの?」
「お父さんです…」
「そうだろ。汗水垂らして仕事をして稼いだお金で買ってくれたんだろ?自分は好きなゴルフもやめて、息子の夢を一緒に叶えようとしてくれてるんじゃないのかい?そんなお父さんが買ってくれたクラブをいくらミスして腹が立っても足で蹴っ飛ばすなんてしない方が良いんじゃないかな。」
「はい…」
その後、私の言葉には全く影響されず、というより更に良いプレーをみせて見事に「全日本大会」の切符を手に入れました。
プレー終了後にもお父さんが駆け寄ってきて「本当にお世話になりました」とまた深々と頭を下げました。
その姿を見ていた彼に私は目で訴えると、彼は小さく頷いたのです。
きっと彼は今後ミスしてもクラブを蹴っ飛ばすことはないと思います。そんな美談があるわけないじゃないかと思われるかもしれませんが、私はそう信じます。
そして将来、彼がプロとなってTV画面に映る日が来たら「あの時の男の子だっ!」と分かるように手帳に彼の名をしっかり書き留めたのですっ!
ではまた!!