• 店長

No.258 本当の負けず嫌い

お元気ですか?

台風18号の影響で降り続いた雨は、私が住んでいる「栃木県(鹿沼市)」にも大きな被害をもたらし、深い爪痕を残していきました。

「50年に一度のレベル」と大雨特別警報が出され、1日で500mmを超えた豪雨は人命を奪うほど凄まじいものでした。

近所を流れる黒川は決壊寸前まで増水し、水が引いてから見に行くと、ほんの数日前に息子たちが元気に野球をやっていた河川敷のグランドは跡形もなく、無数の玉石と大木が横たわる「河原」と化していました…。

つい最近、鹿沼市内で土木業を営む知人がお店に来てくれた時に状況を聞くと、「今回は本当にヒドいよ。300ヶ所以上も崩れたんだから。全部直すのに3年はかかると思う。」

「………」

想像を超える被害の大きさと、改めて思い知らされた自然の恐ろしさに思わず絶句してしまいました…。

先日、息子が「バッティングセンターに行きたいっ!」と言い出したので、同じ野球部のわんぱく少年「T」を誘って出掛けました。

2人とも負けず嫌いな性格なので事あるごとに衝突してきましたが、最近は比較的穏やかな関係を保っています。(笑)

時間に余裕があったので「じゃあ最初はボウリングをやって、その後にバッティングセンターへ行こうか!」と言うと二人とも「やる!やる!!」と大喜び。

ボウリング場に到着し、受付を済ますと、それぞれが自分に合うシューズとボールを選び準備完了!

「よしっ!じゃあ今日は2ゲームやろう!1ゲーム目は練習で2ゲーム目が本当の勝負だぞ!」

二人は互いに「絶対勝つ!」、「俺が勝つ!!」と雄叫びを上げ、1ゲーム目が始まりました。

息子は見ていて笑っちゃうほどヘンテコなフォームで投げるのに対して、Tは驚くほどキレイなフォームで投げました。

1ゲーム目が終了し、大差でTが息子を上回りました。

息子は悔しさをむき出しにして「次が本番だ!」と声を荒げました。

本番の2ゲーム目に入る前に3人でトイレに行きました。

トイレから戻る途中、ガラスケースが目に入り、中を覗くと大小さまざまなトロフィーが販売されていました。

きっと「社内ボウリング大会」などで需要があるのでしょう。

そこで私は、更に二人の「負けず嫌い」に火をつけるため、下から2番目と一番小さいトロフィーを1つずつ購入し、「優勝」、「準優勝」と刻まれた既成のプレートを張り付けてもらいました。

それを2人に見せるとテンションMAX状態!!

いよいよ2ゲーム目がスタートしました!

息子は「真っ向勝負」では勝ち目がないと悟ったのか、両側にセットされたガター防止の壁をうまく利用する「邪道な手段」に出て、なりふり構わず投げ続けました。

片やTは途中、ストライクを決め、場内に響き渡るほどの声で「よっしゃ~~!!」と叫びながらのガッツポーズ!

予想に反して大接戦となり、最終フレームを残して息子が数ピン差でリード。

息子は惜しくもスペアを獲れずに終了…。

あとはTの結果次第…。

1投目で倒し切れなかった数ピンが右サイドに残っていました。

スペアを奪えば逆転優勝間違いなし!

真剣な眼差しで狙いを定め、思い切ってボールを投げましたっ!

結果は惜しくも逆サイドに転がりスペアならず…。

Tは悔しさのあまり大の字になって倒れ、しばらく天井をジィ~ッとみつめていました。

勝った息子はTを茶化すように「勝った!勝った!」とTの周りを走り回っていました。

ボールとシューズを片づけた後、表彰式を行い、Tに準優勝のトロフィーを手渡すと悔しさのあまり目に涙を一杯に溜めていました。

渡した後に、「今度は人数を増やしてやろう!次はもっと大きい優勝トロフィーを用意するからな!」と言うとTは「うんっ!」と最高の笑顔を見せてくれました。

「負けず嫌い合戦」はこれで終わらず、バッティングセンターに行ってからも続きました。

お互い100球ぐらい打った後に、中学生が練習する「110キロ」のスピードに2人を挑戦させました。

2人とも「俺打てるぅ~♪」、「俺も打てるぅ~♪」とやる気マンマン!

初めに息子が打席に入り、バットを短めに持って構えました。

今まで何度かやったことがあるので、まともな当たりは出ませんでしたが、それなりにバットに当てることが出来ました。

続いてTが打席に入りました。

「アイツより絶対に打ってやる!」という気迫が漲った構えでした。

しかし…

フルスイングしたバットはことごとく空を切り、1球としてボールを前に飛ばすことが出来ませんでした。

悔しさいっぱいの顔で打席から出てくると、「もう1回やらせて下さい!!」とリベンジ宣言!

「よしやってこいっ!!」と再チャレンジさせましたが、結果は変わりませんでした…。

帰り道、車の中でしょんぼりしていたTをたくさんの言葉で元気づけました。

家まで送り届けてから自宅に帰り、車から降りようとした時に右のポケットの重さに気が付きました。

手を入れてみると、バッティングセンターでTから「これ打つ時に邪魔なので持っていて下さい」と渡された携帯電話が入っていました。

息子にそのことを話すと「俺も一緒に行く!」と車に飛び乗りました。

細い路地を抜け、最後の角を曲がった時、2人の眼に驚きの光景が飛び込んできたのです!

Tは家の前で、私たちには全く気付かずにバットを振り続けていたのです!

車が近づくとやっと私たちに気が付きました。

駆け寄ってきたTに「これ返すの忘れちゃったよ!」と手渡すと額から汗を流しながら「有難うございます!」と携帯電話を受け取りました。

帰り道、信号待ちをしていた車内で「さっきのTの姿見たか?」と聞くと「うんっ」と息子は頷きました。

「本当の『負けず嫌い』っていうのはTみたいな人間を言うんだぞ!」

「誰だって負ければ悔しいさ。一番大切なのは負けた後にどうするかだ。ただ悔しがったり泣くだけなら誰だって出来る。今日のTの姿はよく憶えておいた方がいいぞ!」

息子はもう一度大きく頷きました。

「内に秘めたもの」はあるのでしょうが、それを子供らしく表に出せる人間が少なくなっていることに寂しさや物足りなさを感じていたので、Tが歯を食い縛りながら、一心不乱にバットを振り続けている姿を目の当たりして本当に嬉しくなり、私自身も「俺も負けちゃいられねぇ~な!」と元気をいっぱい注入されたような気がしているのですっ!!

ではまた

次回更新は11月2日(月)です!

0回の閲覧

© 2023 by Aaliya. Proudly created with Wix.com