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  • 執筆者の写真店長

No.286 掟破り



お元気ですか?

いやぁ~「平昌オリンピック」激熱でしたねぇ~!!

開幕するまでは、正直そこまで盛り上がっている感じはしませんでしたが、始まってみると日本中が「オリンピック一色」になりましたねぇ~。

メダルラッシュ(冬季としては過去最高の13個)はもちろんですが、お隣「韓国」での開催だったので時差も少なく、良い時間帯にTV放送があったことも盛り上がりの後押しになったのかと思います。(きっと…「そだね~」)

竹原ピストルの名曲「よー、そこの若いの」の中に

「たとえば芸能人やらスポーツ選手やらが特別あからさまだけで必死じゃない大人なのていないのさ」という歌詞こそありますが、スポーツは「人生の縮図」みたいなものが垣間見れてやっぱ良いですよねっ!。

それでは、先月のブログで予告した「単独裏磐梯釣行」のはじまりはじまりぃ~!

裏磐梯には4つの湖があります。一番有名な「桧原湖」、そして小野川湖、秋元湖、曽原湖です。どの湖でもバス釣りは出来ますが、メジャーなのは桧原湖と小野川湖です。

私もこの2つの湖をメインにやっています。

でも、地図を見ると裏磐梯にはそれ以外にも小さい沼がたくさん点在します。

その中でも「中瀬沼」という結構大きめな沼はとても魅力的に感じました。

桧原湖と小野川湖を結ぶ細い川の途中に存在し、地図を見ただけでも「絶対ここにはいっぱい魚がいるな!」と確信出来るくらいでした。

でも、中瀬沼は看板こそ立っていませんが、暗黙の了解で「釣り禁止」…。

徒歩で散策をしながらの途中ポイントになっている、いわば「観光スポット」なのです。

一度、私も散策し、展望台から中瀬沼を眺めたことがありますが、たくさんの木々たちに囲まれた中瀬沼はとてもきれいで、癒し効果がハンパなかったです。 (もちろん釣り人など1人もいませんでした…汗)

裏磐梯に通えば通うほど、「中瀬沼で釣りをやりたい!」という思いは強くなり、ついに掟破りの「中瀬沼釣行」を決意したのです!

2005年7月。秘密兵器「一寸法師(1人乗りボート)」をはじめ、数日前からセッティングした道具一式を車に積み込み、前日の夜9時過ぎに家を出ました。

東北道を北へ北へとアクセルを踏み込み、途中、磐越道へと乗り換え、2時間足らずで裏磐梯に到着。1つだけあるコンビニの駐車場で車のシートを倒して車泊しました。

朝5時に起床!

辺りはまだ朝靄がかかっていましたが、目覚めた瞬間からテンションMAX!

コンビニの洗面で顔を洗い、朝と昼の二食分を買い込み、車に乗り込みました。

中瀬沼で釣りをやる方法はただ1つ!

桧原湖と中瀬沼を結ぶ細い川を活用するしかありません。

(中瀬沼の岸は急斜面や木だらけで徒歩では全く入り込む隙間がないのです)

川岸にあった狭いスペースに車を停め、道具を全て下ろし、ボートを組み立て準備完了!

時計の針はちょうど6時。

ほどよく空が明るくなってきた頃、ボートに乗り込みました。

「よしっ!やるぞっ!!」

もうワクワク感は最高潮!!川の両側はどこまでも木に覆われていて、セミの鳴き声だけが聞こえるヒンヤリとした空気の中、ゆっくりと川を下っていきました。

中瀬沼までは約200m。

川の流れも緩やかで「こりゃ楽勝だな!」と思った直後、とんでもない物が目に飛び込んできたのです…。

クマ出没注意!

でっかい文字で書かれた看板が「これを見よ!」とばかりに川岸に立っていたのです。

「なぁ~にぃっ!! 熊出るんかいっ!!!!」

一気に恐怖心が襲い掛かってきました。だって今にでも出てきそうな雰囲気がすんごいんですからっ!(親子で川に水を飲みに来そうな…)

看板を見てからの私は左右をキョロキョロ、黒っぽい太い木を見る度に体がビクッ!となり、完全なビビりモード全開!

あまりの怖さに熊が近づいてこないように大声で歌い始めてしまいました…。

(何を歌ったか憶えていない…)

更に奥へと進むと、ジャングルの中をクルーズしているような景色に早変わり…。

歌だけでは恐怖心が収まらず、そのうち「バァ~ンッ!バンバァ~ンッ!!」と鉄砲の音を真似て、ありったけの声で叫ぶ始末…。

そうこうしているうちに水深はだいぶ浅くなり、岩もゴロゴロと姿を見せ、ボートに乗ったままでは進めなくなってしまいました。

そんなこともあろうかと、ウェーダー(下の部分が長靴になっていて長さが胸のところまである防水グッズ)を装着していたので、ボートから降りて、前からボートを引っ張りながら更に奥へと進んでいきました。

中瀬沼まであとちょっとのところで大きい岩がボコボコと水面から顔を出し、ボートを持ち上げないとその先には進めなくなりました。

釣り道具だけでなく、エレキと呼ばれるモーターやバッテリーも積んでいたので、その重さでそう簡単には持ち上がりません…。

でも「せっかくここまで来て引き返すことは出来ない!」と力を振り絞ってボートを岩に引きずりながら進んでいきました。

そして、最後の難関らしい大きな岩を「オリャ~ッ!」と気合を入れて乗り越えると、キラキラと光った水面が目の前に広がりました。

「やったぁ!!」

もう熊に対する恐怖心は何処かへ飛んでいき、再びボートに乗ろうと、水の中に足を一歩踏み出すと…

ズドーンッ!

一気に首の辺りまで体が沈み、ウェーダーの中に大量の水が入ってきたのです!

何が起きたのかよく理解出来ぬまま、慌てた私はボートをビート板(水泳の練習で使う用具)のように両手で掴み、重たすぎる頭を必死に上げながらバタ足で泳ぎ出しました。

掴みやすい岩を見つけ、半分溺れかけながらも右手でしっかりしがみつき、岩によじ登ろうとしましたが、ウェーダーの中に入った水の重さでなかなか思うようにいきませんでした。

やっとの思いで登り、ずぶ濡れになってハァハァ言いながら水面を覗くと、何故か5m四方ぐらいだけとんでもない深さになっていたのです。 (水深は余裕で3mはあったと思います)

さっきまでずっと膝ぐらいの深さだったのに…

ウェーダーを脱ぐスペースもなかったので、深々とお辞儀をする姿勢で抜けるだけの水は抜きましたが、太ももから下は水に浸ったまま、再びボートに乗り込みました。

(結局、1日中その状態で釣りをやりました…)

深さも十分だったのでエレキ(モーター)のスイッチを入れ、更に奥へ進むとついに中瀬沼に到着!

苦労をしながら辿り着いた喜びと中瀬沼の絶景に心が躍り、いくつかの災難などすでに忘れ、「どんな魚が釣れるのか」とドキドキしながら釣り始めました。

中瀬沼は小さな島が数多くあり、入り組んだ箇所もあるので、間近で見ると、展望台で見た時より断然きれいでした。 (しかも沼にいるのはただ一人の貸し切り状態!)

誰も入っていないだけあって、魚がプレッシャーを受けていたいので次から次へと面白いように釣れました!(俗にいう「爆釣」というやつですっ!)

コンビニで買った弁当(朝食&昼食)を食べることも忘れ、ひたすら釣りに没頭しました。

途中、展望台から不思議そうにこちらを見つめる観光客がいたので、景観を損なわないよう、なるべく展望台からは見えない場所を選びました。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、気がつけば辺りは薄暗くなってしまいました。

「やばいっ!暗くなってからあの川を戻るのは怖すぎるっ!」

十二分に満喫できたので、日が暮れる前に中瀬沼から細い川へと向かいました。

来る時に水没したブラックホールはボートに乗ったまま慎重に進んで無事クリアー!

あとは流れに逆らいながらも、エレキモーターのパワーをMAXにして出発地点を目指しました。

(もちろん「バァ~ンッ!バンバァ~ンッ!!」と叫びながら…)

なんとか辿り着いた時には辺りは真っ暗。

懐中電灯で照らしながら片づけをしました。

車の中でビショビショになった服を脱ぎ、着替えが終わった後、二食分をガッツリ食べてから裏磐梯を後にし、こうして「掟破りの裏磐梯(中瀬沼)釣行」は無事にとは言えませんが完結することが出来たのです。

昨年、友人と裏磐梯を訪れた時、橋の上からその川を久しぶりに見ましたが、あれから10年以上が経ち、川の水面ギリギリまでギッシリと木に覆われていて入り込む隙間さえありませんでした。

もう二度と「あの日」のようなことは出来ません…。

でも、あの日のことは今も私にとって本当に楽しかった大切な思い出として鮮明に憶えています。 (多分、災難もなく、ただ魚がいっぱい釣れただけではここまでの思い出になっていないはず…)

たとえ、それが「掟破り」で、他人から非難されたとしても、全く耳に入らないほど貴重な体験を味わうことが出来、普通では決して見ることの出来ない景色が見られたことに胸を張れるくらいの気持ちなのです。

私は一大決心で脱サラをし、周りからは「絶対に失敗する!」と言われながらも、この商売を始めたことで、サラリーマンを続けていたとしたら絶対に見ることが出来なかった景色をたくさん見ることが出来ました。

(良いことも悪いことも全部ひっくるめて)

「中瀬沼釣行」や「脱サラ」をした時の自分と、今の自分とを比べると、若干ではありますが、「エネルギー」が衰えてきた感(怖さを知った感)は正直あります…。

でも、幼少期の頃から持ち合わせているこのスタイルはこれからもちょこちょこと顔を出し、また新たな景色が見られることを期待しているもう1人の自分がいることも確かなのです!

ではまた!!

次回更新は3月27日(火)です!

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